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機械屋さんの裏紙

Mechanical engineers sometimes waste paper.

横浜中華街の豆板醤

横浜中華街のメインストリートの端の方に一見どこにでもあるような四川料理屋があります。僕はこの店の身体から火を噴くような辛さの料理がとても大好きなのですが、それは置いておいて僕が今日紹介したいのが、この店に置いてある豆板醤です。

この店との出会いは僕がまだ大学生のころ、工場見学のために横浜に来ることがあったんです。二泊くらいのバスツアーみたいで浮かれてたんでしょうね。ちょうど、ホテルが中華街の近くにあって夕食は各自となれば(近くといっても徒歩で30分くらいだった)横浜来たなら中華街行くっしょ! みたいなノリで数少ない友人と中華街を散策しに行きました。そのころから頭と舌がおかしくて、横浜といったら中華! 中華といえば四川! 四川といったら辛いもの! とかそんな感じで何も考えずに1番辛そうな店に入ったのを覚えてます。案の定、めちゃくそ辛くて友人共々汗をダラダラ流しながら、美味い、辛い、痛いなんて言いながら一押しの麻婆豆腐を食べました。次の日は休憩の度にトイレに行ってはケツが燃えるような感覚に苦しめられたのを覚えています。

次の日も中華街で夕食をとることになったのですが、友人の1人が「また、あの店いきてぇな」と言いました。その頃にはケツが燃えるような痛みも治まっていたせいか、満場一致であの四川料理屋に向かっていました。そして相変わらず麻婆豆腐を注文し、相変わらず美味い、辛い、と言いながら次の日のことなど考えずに貪りました。僕はトイレに行くために席を立ち「もうケツが痛くなったのか」などと茶化されていると、とある広告が目に飛び込んできました。『家庭でもこの味を!麻婆豆腐の素売ってます。』これは買わない手はないな、そう思った僕は友人たちに内緒にしておこう。そして会計の後にドヤ顔で、良いものを手に入れた、と自慢しようと企んでいました。

食事も済んで、いざ会計の瞬間が訪れました。荷物をまとめることに手間取っている演技をして、会計の順番が最後になるように調整していると先にレジに並んだ友人が「あ、会計は別々で、あと麻婆豆腐の素一つください」と言っているのが聞こえました。
僕は、くそッ! やられた! 僕のネタを盗られた! そう思いました。完全に被害妄想ですが、このままでは良いところを全部持っていかれてしまいます。僕は苦し紛れに「じゃあ僕はこっちの豆板醤を頂こうかな」と言って麻婆豆腐の素の隣に置いてある豆板醤を買いました。これこそ二番煎じ。全く面白みのない買い物をしてしまったのです。これではただの料理好きな大学生。きっと友人も面白くないと思っていたことでしょう。

こうして僕は豆板醤を手に入れました。せっかくだし、色々な料理に使ってやろうと思っていつものメニュー(チャーハンくらいしか作れない)に豆板醤を加えてみることにしました。メニューの全てが辛いものなんじゃないのかなって勘違いするくらい辛いもの推しの店ですので、豆板醤も物凄く辛いんだろうなって思ってたんですよ。しかし、その予想はことごとく裏切られてしまいました。そして、すぐに気がつきました。この豆板醤、ラーメン屋とかに置いてあるそれとは全く違う。あの店では味わったことのないコク(辛さに紛れて気づかなかっただけ? )、全身に広がる風味、そして健やかな辛さがたまらない。あぁ豆板醤買ってよかった。ありがとう、友よ。

今では、あの店の豆板醤の虜で、豆板醤が無くなりそうになると、いつ中華街に行こうか? と考えるほどに。ぜひ、みなさんも騙されたと思って一度買ってみてはどうでしょうか。